遅い雪

この冬は遅く降り始め,遅くまで降り続いた年でした.初雪はたぶん12月31日.その後は,どっさり降るわけではないけれど,絶えず降っていたような気がする.昨日の雪は春の雪.うちの前でも,積雪は10cmに満たないくらい.それでも,朝,目覚めると,屋根から雪の塊が落ちる音が賑やかに聞こえた.この,「賑やかに落ちる」というのも春ならではで,冬は「トサッ,トサッ」なのが,春になると「ドサッ,ドサッ」になり,今朝なんかは「ガラガラ〜」だったりする.「秋来ぬと〜」ではないけれど,春は賑やかにやってくる.

木々にはうっすらと白粉を,水田には銀箔を押したような,そんな朝だった.写真を撮ってても寒くない.春だー.

アテツマンサク

三瓶から帰ってきて芸北に入ると,谷沿いにアテツマンサクが目立ってきた.本当は行く時から咲いていたのだけど,往路というのはなんとなく気が急いているので通り過ぎたのだ.こんな風に,咲いてるのは分かってるのだけど「また今度」と思いながら撮り逃した花とか光景は数知れない気がする.今回は帰りに立ち止まれたので良かった.

三瓶で宿泊したセミナーハウスの近くにも,マンサクとベニマンサクが咲いていた.特に,ベニマンサクは初めて見た(と思う)ので,ちょっと嬉しかった.ただ,二つの花を見た感想は「やっぱりアテツマンサクがキレイ」.いや,これは親バカ(?)ではなくて,ちゃんと理由がある.マンサクやベニマンサクは萼片が有色なので,萼片が黄色のアテツマンサクに比べて花が濁って見えるのだ.彩の無い春の山の中では,アテツマンサクの方がより目を引くだろう.ただ,茶室に置くならアテツマンサクよりもマンサク,マンサクよりもベニマンサクに軍配が上がるかな.ま,そんな風に勝手に考えられるのが楽しいところですね.花はそんな思いにお構いなしに咲いているのでしょうが・・・.

オウレン

今年は本当に雪が遅くまで降る.この日も,雷を伴った霰のような雪で,「寒い寒い」と言いながら仕事をしていた.林の中の雪はだいぶ解けいたのだけど,実はまだオウレンの開花確認はしていなかった.雪が降ったから入ってみようと思うのも不思議なものだが,人の心なんてそんな風に出来ているのかもしれない.そうでなきゃ理不尽なんて言葉は生まれないはずだし.

ともあれ,やっぱりもう咲いていた.ぽつり,またぽつりという感じで,10株くらい確認した.どれも小さい株ばかりだったけど,これから大きくなるのか?それとも小さい花しか咲かせられないような個体は早く咲くのか?小さい花しか付けられないような個体は,大きな花と同時に咲くと目立たないので,効率的に訪花昆虫を寄せるために早く咲く,なんてことはないのかな.うーん,勉強不足.個体のマーキングして,開花時期と結実率と昆虫の訪花状況を調べればお話にはなりそうだけど,きっとだれかやってるなぁ.中学校か高校の自由研究にできそうだけど,日本のカリキュラムだとちょうど「ブランク」ができる時期だなぁ.ムリか.

オウレンが咲くと,今年もまた始まる,という気になる.
春が来た.