ウリカエデ

植物はどれもそうなのだけど,カエデ属(Acer)は特に幾何学的だと思う.対生する枝,そこから出る葉も対生.長枝の両側に小枝を出し,その先の冬芽が二つに割れて,2枚の鱗片の中からは2枚の紅い鱗片葉と2枚の葉,そして花序が出てくる.どちらかというとカエデらしくない葉だけれど,新緑の鮮やかさは変わらない.

ササの一種

「竹は数十年に一度,花を咲かせて枯れる」と聞くと,花を機会は少ないように思うけど,ササは毎年どこかで花を見ることができる.地味な花ではあるけれど,イネ科(Poaceae)の中では大きな部類に入るので,観察する時にも説明しやすい.ぽろぽろと見えているのは葯で,風に乗った花粉はちろりと覗いている羽毛のような雌しべに付く.秋に稔った実はネズミの重要な食料になるそうだ.竹が開花するとパンダが飢え,ササが開花するとネズミが肥える.小さな花に草食動物の一喜一憂が見える.

シシガシラ

シダの仲間はなかなか見分けが難しいものが多いけど,シシガシラだけは早くに覚えた気がする.地面に張り付くようにして生える姿は特徴的だし,名前もよく姿を現していると思う.常緑のシダだが,春には新しい葉と胞子葉を展開する.この個体は,今まさに葉を拡げようとしているところ.新しい葉がかわいい.古い葉が渋い.周りにはコバノミツバツツジの展葉.春.

ウリハダカエデ

展葉と同時に花を咲かせるカエデ(Acer)の仲間は,大きな冬芽を付けるものが多いように思う.細胞が大きくなるとはいえ,よくもこれだけのものが入っていたなぁ,と驚く.赤い冬芽,新しい緑,花の黄色がきれい.この花は雌しべが見えていたので雌株.

コバノミツバツツジ

長い名前なのに,子どもに言うと,すぐに覚えてくれた.子どもってホントにすごいと思う.花もかわいいけれど,三つの葉が展開する姿もいい.芸北の里山では普通に見られ,しばしば刈り残されて群生する.

花弁は5裂するのだけど,放射相称ではなく,左右対称.これは,ウスギヨウラクの花と比べて,はじめて気付いた.何気なく見てたけれど,ツツジ属(Rhododendron)の花って多様だ.放射相称に切れ込むものもあるし,裂片の形も多様だし.コバノミツバツツジの裂片は,円い部類に入りそうだ.

このお宅の裏山は,毎年たくさんの花を咲かせる.おじさんに話を聞くと,年によって時期・咲く量に変動があるらしい.それにしても見事だ.農繁期でなければ花見にもってこいなのだけど・・・.

ウスギヨウラク

この個体は花の紅が多いけれど,個体によって,あるいは花によって紅の差し方は変わる.写真は暗いけど,陽が射ような林床に見られる.

おかしな花だ.でも,なんだか気になる形.色がきれい.ツツジ属ではないのだけど,この花の形を見て,はじめてツツジの花の形を認識できた.

クロモジ

落葉広葉樹林の林床で普通に見られる.この木の説明をはじめると「お茶の時,和菓子に付いてくる楊枝」と言われるのだけど,実は,お茶をする人はみんな「菓子切り」という道具を自分で持っているので,お茶会のお菓子にクロモジの楊枝は付いてこない.クロモジの楊枝は「お茶をやっていないお客様のためのもの」なのだ.ただし,菓子器から菓子を取るために添える箸はクロモジで,この箸のことを「くろもじ」と呼んだりする.あ,それから5重の菓子器の場合には,銘々にくろもじが出される.

ともあれ,よく知られた木であることは間違いなく,葉をこすった時の清涼な香りはいつでもうれしい.ただ,その姿が一番きれいなのは,軟らかい新葉と黄色の花が春の陽射しに照らされた時じゃないかなぁ...

フデリンドウ

芸北には春に咲くリンドウが2種類ある.一つはハルリンドウで,もう一つがフデリンドウ.ハルリンドウは,芝生を張ったところだけに見られるので,おそらくシバに付いて移入したものだろう.一方,フデリンドウの方は田の畦など,いろんなところに見られるので,自生と考えられる.この個体も,林道沿いの切り土に生えていた.今までは人家近くでしか見たことが無かったので,落葉広葉樹の落ち葉を割って生える姿がちょっとうれしかった.

フデリンドウは,体の大きさとは不釣り合いなほどに沢山の花を付ける時がある.その姿はちょっとした花束のようで,かわいい.らせんを描く蕾もいい.

イカリソウ

芸北ではトキワイカリソウも見られるけれど,この個体は昨年の葉を残していないのでイカリソウ.葉を開くのとほぼ同時に花を咲かせるが,個体によっては20近くものはなを鈴なりに付けるものもある.花の形がおもしろいので,少ない方が見栄えが良い気がするのだけど,人のために咲かせるわけじゃないからなぁ...