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ツルを切る

苅尾の山頂付近を歩いていて,いくつかのつるが切られていることに気付いた.明らかに人の仕業なのだけど,なぜこんなことをするのだろう?遊び半分にしてはたくさんあるし,つるの採取をした形跡も無い.

いろいろ考えたけど,ブナを守るつもりでつるを切ったのではないか,という憶測にたどり着いた.もしそうだとしたら,それはとんでもない勘違いだ.材木の生産を目的としたスギやヒノキの植林ならともかく,ブナ林はブナだけが生えていればよいわけではない.確かにブナはブナ林の優占種だけど,それをとりまく様々な動植物がいて,はじめてブナが生育できるのだ.つるが絡み付いたくらいで枯れるほどブナは弱くない.絡み付いたつると共に生きるはずだ.逆に,つるが絡み付いたくらいで枯れる個体は枯れた方が良い.1本のブナが枯れると,そこには大きな空間(ギャップ)ができる.そうしてできたギャップから,また次の世代の植物たちが伸びていくのだ.

環境を保全しようとする時,特別な生物を守るというのは分かりやすい構図だ.だけど,そこだけを見たのでは,本質的に自然を守ることはできない.目の前だけの事象を見て,短絡的な行動に出ないようにしなければならない.自戒.