高原の自然館、開館しています。

カキツバタやカンボクが咲き始め、高原の自然館のある八幡にも初夏がやってきたと感じられる今日この頃です。
ブログの更新がないから、自然館は閉館しているのか?と思われた方々、ご安心下さい。
高原の自然館は4月26日から開館しております。

自然館近辺の最新情報や、イベント情報については、認定NPO西中国山地自然史研究会のHPにて、頻繁に更新しておりますので、そちらをご参考いただければ幸いです。

認定NPO西中国山地自然史研究会のサイトはこちらです。
http://npo.shizenkan.info

thumb_P5280618_1024
本日の高原の自然館。ちょっと曇っています。

八幡湿原と尾瀬ヶ原湿原

八幡湿原と尾瀬ヶ原湿原

八幡湿原の話しをするときには,よく話題にされるのが尾瀬ヶ原湿原のことです.日本人にとって湿原といえば,まず尾崎谷湿原(そして釧路湿原)なんでしょうね.

ここでは,成り立ちと植生から,ふたつの湿原を比べてみたいと思います.

まとめを先に書くとこのような形です.

共通点;

  • 川がせき止められたことによる盆地地形に湿原が形成された
  • 泥炭の蓄積が認められる
  • 大きく見れば同じ植生

相違点;

  • 川がせき止められた原因(尾瀬は火山活動,八幡は地質)
  • 泥炭の蓄積量(尾瀬は5m,八幡は1m未満)
  • 植物相全体で見ると共通していない(共通係数18%)
八幡盆地
平坦な地形が拡がる八幡盆地.奥には臥竜山.

Read more

〓マツムシソウの花をじぃーっと見た

〓マツムシソウの花をじぃーっと見た

マツムシソウは一つひとつが筒のような形をして,花序の外側には花弁の大きな花が,内寄には花弁が小さな花が並んでいます.

マツムシソウの花

内寄りの花を見ていると,花弁の切れ込みのうち「一つだけに色が付いている」ことに気付きました.

マツムシソウの花序

この,色の付いた花弁は,つぼみの時に一番外側にあった裂片のようです.つぼみに「最後の封」をする役割.では,花弁の大きな花ではどうだろう,ということで探してみました.
なかなか「咲きかけ」を見つけることができませんでしたが,ようやくありました.

咲き始めたマツムシソウ

一番外側の,大きくなる花弁を持っている花は,全ての裂片に加え,筒部分も紫色でした.

マツムシソウの花では「内側の花では,未熟な蕊を紫外線から保護するために,”蓋する裂片”だけに色がつくのか?」「外側の花では,虫を呼ぶために全体に色がつくのかな?」なんて思いながらじぃーっと見てみました.

マツムシソウのつぼみ

真相は分かりませんが,やっぱりおもしろい花です,マツムシソウ.”蓋の裂片”を意識すると,つぼみも可愛く見えますね.

霧ヶ谷の,草刈りの効果

霧ヶ谷の,草刈りの効果

霧ヶ谷湿原の草刈りエリアも,作業から1ヶ月経ちました.こちらは緑が目立ちます.刈取り&持ち出しを3年間続けているのと,貧栄養な水をまわしているのとで,木本が目立たなくなりました.ノイバラの株はたくさんあります.

今年もトモエソウの芽生えがたくさん,ノハナショウブやユウスゲの株も健在で,夏にはお花畑が見られそうです.春先の草刈りは,農作業としては無かったものですが,「花咲く野草地」を再生する初期段階では有効かも,と思いました.

  1. 低木だけにダメージを与えられる
  2. 夏の刈り取り&持ち出しでは,花を刈ってしまうし,保全対象の草花にダメージがある
  3. 秋の刈り取り&持ち出しでは,種まで持ち出してしまう

ただし,これが有効なのは,外来草本が入っていないことと,保全対象種の種子供給源があることが条件でしょうね.それから,春先は草や木が雪で抑えられて刈りにくいので,いずれは晩秋に作業をするようにした方が効率が良いように思います.試行錯誤.

千町原の,野焼きの効果

千町原の,野焼きの効果

野焼きから1ヶ月経った千町原を通っていると,焼いたススキ原は黒く見えます.他の場所では低木や牧草(ハルガヤ)が芽吹いて緑なのに,このエリアは黒い.理由は以下の二つ.

  1. ススキの芽生えは牧草に比べて遅いので,緑が目立たない
  2. ノイバラなどの低木の冬芽が焼けて芽吹くことができない

特に「2」の方は大事で,ススキ原では燃料(前年のススキ)があるために,1m以下の低木は,ちゃんとダメージを受けるようです.ススキが残っている場所なら,毎年野焼きを続けることで低木を駆逐できるかもしれません.(毎年続ける,というのがナカナカ難しいのですが...)

一方,2メートル程度の低木林になった場所では,野焼きの燃料も無く,あまりダメージを受けないため,しっかり芽吹いています.こうした場所では,伐採を伴う管理が必要なようです.

何事もそうかもしれませんが,火入れもまた,管理を継続することが,管理そのものの労力を下げています.良いスパイラルが残っている場所(近隣では,雲月山,深入山,秋吉台,三瓶など)は,この流れを止めないことが大事ですね.千町原も,早くそこまでたどり着きたいものです...

雲月山の草原学習も仕切り直しで始まりました

雲月山の草原学習も仕切り直しで始まりました

2日前の中学校1年生から変わり,今日は小学校5年生と雲月山を歩きました.山焼き後の花と言えばショウジョウバカマの印象ですが,この日はもうほとんどの花が終わっていて,代わりにトキワイカリソウが見頃でした.焼け野に咲く花は,生命力に溢れていて美しいですね. Read more

「高原からの花便り展」が北広島町図書館で始まります

「高原からの花便り展」が北広島町図書館で始まります

北広島町広報の裏表紙に,毎月「高原からの花だより」という連載を書かせてもらっています.毎回,八幡高原に生育する花の写真を1枚と,その花にまつわる話しを,お便りとして届けてもらっている形です.合併から始まっているので,次の2月で10年・120回になる予定です(北広島町は,まもなく合併10周年).

今回,図書館内にある「ギャラリー通(つう)」で,この連載に関する展示をしていただくことになりました.図書館らしく「文章」も展示してくださっています.

    • 場所:北広島町図書館内「ギャラリー通」
    • 期間:2014年4月26日〜5月25日(ただし月曜・祝日は休館)

今回は「春」の展示ですが,「夏」「秋」「冬」も企画されているそうです.どうぞご覧ください.広報とは違う写真を使っているものもあります.

なごりの雪

なごりの雪

4月5日の朝,八幡高原に雪が積もりました.9時のアメダスでは15cm,10時に車の屋根で測ったら24cmありました.農林業の人には怒られるかもしれませんが,春の遅雪は,八幡高原に暮らしていることを実感できて,嬉しくなります.

民家の植え込みに止まるツグミをたくさん見ました.数日前までは田んぼで餌を拾っていたのが,一面の雪に追われたようです.

西中国山地自然史研究会が,広島県初認定のNPOに

西中国山地自然史研究会が,広島県初認定のNPOに

西中国山地自然史研究会が,広島県から初の認定を受けるという快挙を達成しました.どのくらいの快挙かというと,広島県には461のNPO法人がありますが,このうち「認定NPO法人」は3団体しかありません.全国でも,NPO 48,854法人のうち,認定NPOは257と,わずか0.5%です.

認定NPO法人になると

認定NPO法人は,寄附金の受け入れ団体として認められています.寄付というのは個人の自由なので,どこに寄付しても良いのですが,認定NPOの場合,寄付をした人や企業が税金の優遇を受けられるというのが特徴です.個人の場合は所得税の最大25%が控除され,企業の場合は寄付を「損金」に算入できます.

見方を変えてみると,個人や企業の財産を,税金として行政が集めてから公共の事業に使われるのではなく,直接,公共の事業をしている団体に振り分ける仕組みになっています.もちろん税金は公共の事業に使われるのですが,地域に戻ってくるまでに,公務員の給料や,手続きに係る費用もたくさんあります.中間の手続きを省略することで,事業そのものに使うことができる額が大きくなります.

寄付者にとって大きなメリットがもう一つあります.それは,自分のお金の使途を選択することができるという点です.税金を納める時には,税金の使い道を指定することができません.しかし,NPOに寄付をすれば,その使い道は明確です.税金として「何かは分からないけど公共事業」に使われていたお金を,「自然保護活動」や「環境教育」など,目的を明確にできることは,寄付者にとっての大きなメリットだと思います.地域に認定NPOが増えることは,住民・企業・行政の全てにとって良い影響を及ぼすと思います.

認定の取得について

公共事業にとって重要な税金が減るため,控除対象となる団体の認定は,当然ハードルが高くなります.NPO法人の設立は書類を整えれば良いのですが,「認定」を受けるには,主に次の2点について厳格に審査されます.

  1. 寄附金を受けた実績(社会的に認められていること)
  2. 適切な事務の執行(組織の中がきちんとしていること)

この2点をクリアして「認定」を受けた西中国山地自然史研究会は,社会的にも活動が認められており,かつ組織としても信頼できる,と,県からお墨付きを受けたわけです.すごい!

認定までには,理事のみなさんの取組とともに,事務局の方でもたいへんな苦労をされていました(横から見てました). 特に,認定をする側の県職員の方にとっても初めてのことで,慎重に学びながら指示が来るため,事務の方は五月雨式のオーダーに対応しなければならず,苦しかったと思います.心から拍手を送ります.

自由集会「地域の自然を守るために本当に必要なこと」の宿題

自由集会「地域の自然を守るために本当に必要なこと」の宿題

大会初日午後に自由集会が開催されました.同じ時間に競合するテーマの集会が無かったこともあり,来場者は約140人(開催者カウント)だったそうです.多い.タイトルが,保全の現場に居る人に対して挑戦的だったことも寄与してるかもしれません.

しかし,最初の2人の講演が大幅に時間超過してしまい,総合討論の時間が取れず,「集会」が成立しませんでした.これは非常に残念であるし,主催者としては来聴者を裏切った形になってしまいました.3人目からは駆け足の発表になるので聞きにくいし,特に最後から2番目に発表した猪谷さんは,時間を気にしながらの発表だったので可愛そうでした.タイムキープを講演者任せにした主催者一同で反省するとともに,「質問への回答と,各自が考える[本当に必要なこと]を掲載したページを作成し,jeconetでアナウンスすること」を約束しました.

以下宿題.

地域の自然を守るために本当に必要なこと,を自分なりの言葉で書いてみると「科学知,または地域に内在する経験知に基づいた合意と,実施主体を伴う複数の具体的な手段.およびその手段を適切なタイミングで投入するコンダクター」となります.

科学知に基づく合意

  • カキツバタ保全のための刈取り手法(井上)
  • 具体的な保全対象種の共有(猪谷)
  • 継続的な理科教育(猪谷)
  • 北広島町レッドデータブック2012(白川)
  • 生物多様性きたひろ戦略(白川)

経験知に基づく合意

  • 盆栽教室を通じた自然観の共有(片岡)
  • 滝登りの禁止(片岡)

実施主体を伴う具体的手段

  • 地域住民による「滝登り禁止」の看板(片岡)
  • カキツバタ保全のための選択的刈取り(井上)
  • 芸北せどやま再生事業(白川)

コンダクター

  • 法規制への対応(井上)
  • 行政と参画団体との連携(井上)
  • (認定)NPO法人西中国山地自然史研究会(白川)

保全の議論が盛んになってきたとき,生態学から保全へのアプローチでは,種生態や生息環境の維持機構を明らかにすることにより,たくさんの具体的手段が提示されたように思います.その後,自然再生事業が進められた時期には,矢原先生が,科学知に基づく合意形成について集会を企画された記憶があります.この辺りまでは生態学の匂いがしますが,経験知に基づく合意や,実施主体の話しになると生態学だけでは追いつかなくなってしまいます.そうなると,コンダクターに求められる資質は生態学の知識だけに留まらなくなり,社会の中に機構として落とし込むためには,他分野の助けを借りた議論が必要になってきます.佐藤哲さん・家中さん・鎌田さんが始めた「地域環境学ネットワーク」のプロジェクトは,なるほどそういうことなんでしょうね.一つの学会の中だけでは,あるいは科学だけでは解決できない社会課題に対する議論をするための場.

宿題はそんなところです.こんなことは,もう多くの人が気付いているのだけれど,今回の集会の旨味は,上記文脈に出てくる要素を丁寧に,そして具体的に示して,総括的に議論するところにあったと思います.理想世界としての保全方針を,現実世界の話しとして示すこと.なので,総合討論が無くなったのは本当に残念でした.聴いてる方はもっと残念だったと思います.

僕の話の中では,コンダクター(ここでは「補助金を投資する行政」)の話しをしました.

森林政策
今の森林政策と今からの方向

この話しは,アンダーユースとオーバーユースを,補助金や規制や税金によってどのようにコントロールするか,という話しです.林産材の利用を進める必要がある現在時点でのgood・better・bestだけど,それらは時事見直されるべきことで,bestがずっとbestではないと思っています.

質問で,都市部との流通が出たけど,資源の問題を考える時に,流通ほど無駄なことは無いと思います.広域流通が始まったことで,地域のホメオスタシスが機能しなくなったと思います.ただし,現代の社会で地産地消を100%実現することは不可能なので,じんわりと,できるところ・やらないといけないところから始めて,広げていく,というのが次善策なんでしょうね.16日の公開講演会ではそんな話しもできる・・・かな.

今回の学会は,自由集会での発表が一つ,公開講演会の司会,ポスター発表(協働発表)が一つ,専門委員会が2 つ.たくさんあるけど,自分の「研究発表」が無いのは寂しい.

1 / 1912345...10...最後 »