この春はブナの花を見なかった.その時期に苅尾に登らなかったからだ.ブナの葉の特徴を説明する時,最初に言うのはいつも「本当にきれいな葉」ということ.他がきれいじゃないということではないのだけど,並んだ葉脈や波状鋸歯はきれいだと思う.葉っぱらしい葉.今は展葉したてでまだ赤味がかっていて,毛も生えている.これからいよいよ瑞々しい新緑の季節を迎える.
夏 -home-
八幡大歳神社
八幡盆地の真ん中は浮島と呼ばれる.大歳神社はこの浮島にある.大歳神社の裏にはその年の農作物のできを占う神事に用いられる瓶があり,瓶の中に水が入っていなければ豊作だという.この瓶は大水が出た時にも浸からなかったそうだ.つまり,占いの結果はいつも豊作.どちらかというとおまじないみたいなものだろうか.ところで,この「浮島」という地名を聞くと,どうしても湿原と関連づけて考えてしまう.一帯は湿地で,洪水時には湿原が水を抑えたと考える事は飛躍だろうか.
大歳神社の社叢林にはブナが2個体ある.遠くに見える苅尾から飛び出したブナを残した八幡の先人には,何か暖かいものを感じる.水が張られた水田の上に見える大歳神社は,本当に島のようだ.
新緑のカラマツ
二週間前に来た時には芽吹いたばかりだったけど,すっかり新緑になっていた.カラマツの新緑は本当に目に鮮やかだ.国営林なのに林床が全く整備されていないので,生物多様性の極端に低い林になっていることが残念.