タイトルは「生物多様性地域戦略を政策につなげる−実践の現場から−」というもの.短い講演時間でしたが,戦略策定の経緯,学術調査から見えてきた数値目標,せどやま再生事業などの話しを詰め込みました.
この分科会「4.行政・市民の本音を地域戦略促進に活かす」では,ひとはくの橋本さん,NACS-Jの志村さん,生物多様性とくしま会議の飯山さんが話され,戦略策定を始める段階から,実際に戦略に沿った施策を展開する段階まで,様々な局面が登場しました.
一番面白いと思った議論は,徳島大の鎌田さんから投げられた「数値目標も必要かもしれないが,むしろ,生物多様性によってもたらされる豊かさや文化が重要で,どのように評価すれば良いのか」というもの.僕は,豊かさとか文化とかは,数字にするよりも,その価値を「語る」ことによって評価すべきじゃないかなぁ,と思っています.音楽や美術作品が「なぜ美しいのか」を数字を使って解説する場面も確かにあるのですが,作品が大きな価値を得たとき,既に他との比較が意味を成さない絶対的存在になるのと同じように,豊かさとか文化も,数値化して比較するには向かない価値だと思うのです.作品を価値付けするのは学芸員の仕事ですが,社会が持つ豊かさや文化のキュレーションはだれがするんでしょうね.立ち話で鎌田さんから出た「社会学の出番」というのには一票です.かたりべ.
もうひとつ,この質問に関連して考えたのは,数値目標は「到達目標(マイナスからのスタートで,そこに達することが大事)」で,豊かさや文化は「達成事項(ゼロからのスタートで,作られたものが蓄積していく)」だなぁ,ということ.この意味でも,二つを同じ軸に収めるのではなく,それぞれ独立した評価が適当かなぁ,と思いました.
午後からは博物館の分科会に参加して「博物館にできること」をおさらい.正直なところ,高原の自然館は色々な意味で「まだまだ全く追いついていない館」なので,他の館の活動や考え方を聞きながら,将来像を想像することが大事だと思っています.イメージキャリブレーションのようなものです.
終了後には,場外編でとても大きな話しを聞くことができました.国の施策がどのタイミングでどのように進むのかという見通しを,そんなに遠い話しではなく聞くことができてhappyでした.
声をかけて下さった橋本さんと,にじゅうまるCOP1運営のみなさん,色々とご意見をくださった方たちに感謝します.充実した1泊1日でした.
地域戦略
日本自然保護協会主催の自治体担当者対象セミナー「生物多様性地域戦略の活かし方」で講演します
「関東方面」で「自治体担当者」と,対象者が絞られたセミナーですが,該当する方,どうぞご参加ください.個人的には「目黒区生物多様性地域戦略」の内容にちょっと興味があります.
■日時:2014年 3月4日(火)13:00~17:00(開場12:30)
■会場:フォーラムエイト 7階 773会議室
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル
(渋谷駅徒歩5分)
詳しくは NACS-J のホームページをご覧下さい.