落葉広葉樹林の林床で普通に見られる.この木の説明をはじめると「お茶の時,和菓子に付いてくる楊枝」と言われるのだけど,実は,お茶をする人はみんな「菓子切り」という道具を自分で持っているので,お茶会のお菓子にクロモジの楊枝は付いてこない.クロモジの楊枝は「お茶をやっていないお客様のためのもの」なのだ.ただし,菓子器から菓子を取るために添える箸はクロモジで,この箸のことを「くろもじ」と呼んだりする.あ,それから5重の菓子器の場合には,銘々にくろもじが出される.
ともあれ,よく知られた木であることは間違いなく,葉をこすった時の清涼な香りはいつでもうれしい.ただ,その姿が一番きれいなのは,軟らかい新葉と黄色の花が春の陽射しに照らされた時じゃないかなぁ...