田の畦に咲くところや,花の形はムラサキサギゴケやトキワハゼに似ているが,こちらはシソ科,前2者はゴマノハグサ科.シソ科らしく,茎をこすると臭い.子どもの癇を取る薬に使ったのでカントリソウの名もあるそうだが,垣を通すほど伸びるカキドオシの方が馴染みやすい.薬に使ったことが無いからか...
別の科でも花の形が似てくるのは,同じ働きを持つからで,生物学の分野では「相同器官」という言葉が使われたりする.カキドオシの花弁は,ハチなどがとまりやすいようにできていて,実際,ハチがよくやってくる.花に降り立ったハチは,蜜を吸うためには花のトンネルを潜っていかなければならない.カキドオシの花を横から見ると分かるように,実は,このトンネルは割と長い.しかも,トンネルの天井には雄しべと雌しべがあって,潜り込んだハチに花粉が付くようになっている.こうしてハチに付着した花粉は,次の花に運ばれて雌しべに届く.僕らが見ている花は,長い長い年月をかけて虫との間に作られてきた関係の産物だ.そんなこととは関係なく,春の陽射しは暖かいのだけど...