八幡高原を代表する花として,真っ先に挙げられるのがカキツバタです.そして,カキツバタが咲く頃になると,いつも交わされるのが「アヤメとカキツバタの違いは?」という質問です.同じIrisはよく似ていますが,花の時期には容易に見分けられます.
八幡高原
八幡湿原と尾瀬ヶ原湿原
八幡湿原の話しをするときには,よく話題にされるのが尾瀬ヶ原湿原のことです.日本人にとって湿原といえば,まず尾崎谷湿原(そして釧路湿原)なんでしょうね.
ここでは,成り立ちと植生から,ふたつの湿原を比べてみたいと思います.
まとめを先に書くとこのような形です.
共通点;
- 川がせき止められたことによる盆地地形に湿原が形成された
- 泥炭の蓄積が認められる
- 大きく見れば同じ植生
相違点;
- 川がせき止められた原因(尾瀬は火山活動,八幡は地質)
- 泥炭の蓄積量(尾瀬は5m,八幡は1m未満)
- 植物相全体で見ると共通していない(共通係数18%)
千町原の,野焼きの効果
野焼きから1ヶ月経った千町原を通っていると,焼いたススキ原は黒く見えます.他の場所では低木や牧草(ハルガヤ)が芽吹いて緑なのに,このエリアは黒い.理由は以下の二つ.
- ススキの芽生えは牧草に比べて遅いので,緑が目立たない
- ノイバラなどの低木の冬芽が焼けて芽吹くことができない
特に「2」の方は大事で,ススキ原では燃料(前年のススキ)があるために,1m以下の低木は,ちゃんとダメージを受けるようです.ススキが残っている場所なら,毎年野焼きを続けることで低木を駆逐できるかもしれません.(毎年続ける,というのがナカナカ難しいのですが...)
一方,2メートル程度の低木林になった場所では,野焼きの燃料も無く,あまりダメージを受けないため,しっかり芽吹いています.こうした場所では,伐採を伴う管理が必要なようです.
何事もそうかもしれませんが,火入れもまた,管理を継続することが,管理そのものの労力を下げています.良いスパイラルが残っている場所(近隣では,雲月山,深入山,秋吉台,三瓶など)は,この流れを止めないことが大事ですね.千町原も,早くそこまでたどり着きたいものです...
「高原からの花便り展」が北広島町図書館で始まります
北広島町広報の裏表紙に,毎月「高原からの花だより」という連載を書かせてもらっています.毎回,八幡高原に生育する花の写真を1枚と,その花にまつわる話しを,お便りとして届けてもらっている形です.合併から始まっているので,次の2月で10年・120回になる予定です(北広島町は,まもなく合併10周年).
今回,図書館内にある「ギャラリー通(つう)」で,この連載に関する展示をしていただくことになりました.図書館らしく「文章」も展示してくださっています.
- 場所:北広島町図書館内「ギャラリー通」
- 期間:2014年4月26日〜5月25日(ただし月曜・祝日は休館)
今回は「春」の展示ですが,「夏」「秋」「冬」も企画されているそうです.どうぞご覧ください.広報とは違う写真を使っているものもあります.
なごりの雪
4月5日の朝,八幡高原に雪が積もりました.9時のアメダスでは15cm,10時に車の屋根で測ったら24cmありました.農林業の人には怒られるかもしれませんが,春の遅雪は,八幡高原に暮らしていることを実感できて,嬉しくなります.
民家の植え込みに止まるツグミをたくさん見ました.数日前までは田んぼで餌を拾っていたのが,一面の雪に追われたようです.