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しらかわかつのぶ – ページ 18 – 芸北 高原の自然館

アブラチャン

初めて聞いた時には冗談で付けた名前かと思ったが,実はチャンは瀝青のことで,クスノキ科らしい名前だと知り,自分の無知さを反省した.それでも,やっぱり響きがかわいい名だと思う.花もかわいい.この辺りで見られるクロモジ属の中では,ひときわ目立たない花だろう.林の中で,ひっそりと咲いていた.

フキ

誰でも知ってるふきのとう.これはもう開いてるので,薹ではないけれど,やっぱり食べることを考えてしまう.芸北の人は,ふきのとうをゆでて刻んだものを,白みそ・酒・みりんなどで和えた「蕗味噌」という総菜を作る.これがおいしい.「1年以上保ちますか?」と聞いたら「それは保つだろうけど,風味を楽しむものだし,そもそも毎年たくさん生えるのだから,その都度作る方がいいんじゃないの?」と返された.もっともだ.

春の味覚も,花が終われば白い綿毛になってしまう.次は葉柄が煮付けになる番だ.

ダンコウバイ

クロモジ属の中でも,アブラチャンと先を争うように咲くのがダンコウバイ.まだ他の木は冬芽が堅いうちに咲く様は,遠くからでもよく目立つ.雌雄別株で,雄花の方が雌花よりも大きいらしい.この個体は雄花.同じ日に別の所で見たアブラチャンよりも大きく見えた.区別点は,ダンコウバイでは花柄が無いこと.

いずれにしても,この仲間の黄色い花は,小さいのに,春の林床でよく目立つ.

カンスゲ

常緑で,冬の間も青々としてるから「寒菅(すげ)」.なるほどね.確かに常緑のスゲって少ないかもしれない.山の中にある常緑のスゲはミヤマカンスゲ(深山寒菅)で,葉がカンスゲよりも軟らかい.

,他の花に先駆けて咲くので,花もわりと目につく.実の形が特徴的で,先が急に尖ってくちばしみたいになっている.

この時期は「何か咲いてないか」と探して歩いてるので,スゲの花を落ち着いて見たりしてる.写真を整理したら,けっこうな枚数撮っていた.今年は,別の時期に咲くスゲも見なきゃなぁ...カンスゲだらけになってしまう.

タチツボスミレ

どこにでもあるスミレ.だからこそ,ほっとする.のり面や手入れの行き届いた斜面には大群落を作って,ときどきハッとさせられる.とにかくたくさんある.托葉は,ノイバラのように櫛の歯状の深い切れ込みがある.

とにかく,日本全国どこにでもあるスミレなので,変異が多いらしい.その変異を楽しめるくらいになれば良いのだけど,まだまだ・・・です.

ヒサカキ

春の匂いを運んでくる花.歩いていて,プーンと匂ってくる.この臭い匂いを嗅ぐと,あぁ,また春が来たんだなぁ,と思う.

まだ雪の残る雲月山の岩陰で,ひっそりと咲いていた.この後行われた山焼きで,この個体は火に包まれた.死なないけれど,花は燃えたはず.何年も焼くことを続けたら,消えていくのだろうか?逆に,何年も山焼きが行われていた山のこんな場所に,よくもぽつんと生えたものだ.松枯れ後にヒサカキ林になったりするけど,生命力を感じる木.臭いのせいか?

アセビ

馬酔木と書き,毒を持つ植物というのは周知の事だが,花の匂いは良い部類に入ると思う.そしてきれい.この個体は真っ白だったが,ピンクや緑のものもある.日当たりの良い林縁などに多いので,この時期,車を運転していてもよく目に止まる.公園などに植栽されるが,外で見るのがやっぱりうれしい.

シュンラン

のり面を切ってできた崖っぷちにぽつり・・・というよりも,ぼこんと実を付けていた.個体の大きさに比べてものすごく大きい.一緒に見たコミヤ君は「別のものじゃないですか?」と言っていたが,いやいや,シュンランの実だ.体の大きさに比べてこんなに大きな実を付けるなんてビックリだ.根茎に栄養を貯めているとはいえ,実に渡す栄養が少ないからできるんだろうなぁ...

根元からは今年のバルブも出ていた.しばらくしたら,もう一度見に行ってみよう.