ず〜っと見たかったシダ.名前を知ったのは大学4年の時で,先輩が「すっきりしててきれい」と言っているのを聞いてからは「憧れの植物」だった.そんなわけで,一目見てすぐに「コレダ!」と分かったのだけど,同行した友人は「別に珍しいもんじゃないやろ」という冷静な答え.確かに渓畔林を調査していたら出てくるだろうけどね・・・.僕にとってはとてもシアワセな出会いだった.思いがけない出会いが一番うれしい.逆に「見に行くぞ!」と気持を盛り上げすぎると,現地で意味もなく空虚な気持になったりして,そこのところのさじ加減が難しい.
とにかく,一番長い間気になっていた,と言っても過言ではない植物を見ることができた.胞子葉を付けたものもあったが,あえてこの写真で紹介した.小葉の付け根が広がるゼンマイと異なり,ヤシャゼンマイは小葉が被針形になる.このため(先輩の言葉どおり)すっきりした印象を受ける.色も彩度がすこし高くて明度が低い緑で,これも好い色.
出会い方はとても大切だと思う.ヤシャゼンマイは良い形で見つけることができて良かった.これがあるから山歩きは楽しい.