西中国山地自然史研究会が,広島県から初の認定を受けるという快挙を達成しました.どのくらいの快挙かというと,広島県には461のNPO法人がありますが,このうち「認定NPO法人」は3団体しかありません.全国でも,NPO 48,854法人のうち,認定NPOは257と,わずか0.5%です.
認定NPO法人になると
認定NPO法人は,寄附金の受け入れ団体として認められています.寄付というのは個人の自由なので,どこに寄付しても良いのですが,認定NPOの場合,寄付をした人や企業が税金の優遇を受けられるというのが特徴です.個人の場合は所得税の最大25%が控除され,企業の場合は寄付を「損金」に算入できます.
見方を変えてみると,個人や企業の財産を,税金として行政が集めてから公共の事業に使われるのではなく,直接,公共の事業をしている団体に振り分ける仕組みになっています.もちろん税金は公共の事業に使われるのですが,地域に戻ってくるまでに,公務員の給料や,手続きに係る費用もたくさんあります.中間の手続きを省略することで,事業そのものに使うことができる額が大きくなります.
寄付者にとって大きなメリットがもう一つあります.それは,自分のお金の使途を選択することができるという点です.税金を納める時には,税金の使い道を指定することができません.しかし,NPOに寄付をすれば,その使い道は明確です.税金として「何かは分からないけど公共事業」に使われていたお金を,「自然保護活動」や「環境教育」など,目的を明確にできることは,寄付者にとっての大きなメリットだと思います.地域に認定NPOが増えることは,住民・企業・行政の全てにとって良い影響を及ぼすと思います.
認定の取得について
公共事業にとって重要な税金が減るため,控除対象となる団体の認定は,当然ハードルが高くなります.NPO法人の設立は書類を整えれば良いのですが,「認定」を受けるには,主に次の2点について厳格に審査されます.
- 寄附金を受けた実績(社会的に認められていること)
- 適切な事務の執行(組織の中がきちんとしていること)
この2点をクリアして「認定」を受けた西中国山地自然史研究会は,社会的にも活動が認められており,かつ組織としても信頼できる,と,県からお墨付きを受けたわけです.すごい!
認定までには,理事のみなさんの取組とともに,事務局の方でもたいへんな苦労をされていました(横から見てました). 特に,認定をする側の県職員の方にとっても初めてのことで,慎重に学びながら指示が来るため,事務の方は五月雨式のオーダーに対応しなければならず,苦しかったと思います.心から拍手を送ります.