今年は特に花付きも良く,遠くからでも真っ白に見えるほど花を付けている個体がたくさんあった.名前も花もカワイイのだけど,葉が隠れるほど真っ白になった個体を見ると,壮絶な思いがする.
植物は葉で光を受けて栄養を合成している.夏の高い気温と強い陽射しは,植物が生長する絶好の季節だ.この時期に,葉を覆ってしまうほどの花を付けるというのは,栄養を摂らずに子孫を残そうとする努力だろう.鳥の中には,抱卵の時期に全く食事を摂らないものもいるが,ヤマボウシが葉をすっかり覆うほどの花を付けるのも同じ事だ.子孫を残すための生物の行動って本当にすごい.同じ意味で,開花時に葉が白くなるマタタビもスゴイなぁ.花をびっしり付けるにしても,エゴノキなんかは下向きに付けるので,光合成に影響はない.ポリネーターへのアピール度は,だんぜん上向きの方が高いだろうけど.
花弁のように見えるのは総苞片で,丸く見えるのが花の集まり.実際の花弁は2mmくらいで非常に小さいので,本当の開花は見過ごされてしまうかもしれない.この個体はまだ花弁も雄しべも付いていた.
葉は対生し,花に先駆けて展葉するが,花期にも開きかけのものも多く見られる.