大阪市立自然史博物館の佐久間さんは里山の研究をされていて,つくばでも今回の大阪でも,生態学会でクヌギの話題を提供された.大阪の周辺では,クヌギの材を継続的に取る方法として,根本からある程度の高さまでを残し,その上に萌芽した枝を切っていたらしい.「なるほどなぁ」と感心する知恵だけど,この個体のような姿を見るとちょっとした悲哀を感じないでもない.
これは京都で見たチビ林.ここでも台場クヌギの樹形が見られる.新しい切り株もあったのは,今でも伐採が継続されているからだろうか.同じような樹木利用の方法は広く行われていたようで,東北に行くと「あがりこ」という樹形のブナが見られる.雪のある時期に切っていたため,結果として高い場所で伐採されたとも言えるが,昔の人はおそらく「そうした方が良い」ということを知っていたのだろう.
ちょっとした知識で見える景色が違ってくるのは楽しいことだ.